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ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…
「…何を笑ってるんですか…?」
知らず知らずのうちに当時の事を思い出して笑っていたみたいだった。
「思い出してたの…私と友紀也の根競べ…絶対に負けるわけにはいかないって…あのベンチでずっと病室を眺めてた…ふふふっ…私の勝ちだったね」
「そうですよ…あの時…どんなに心配したか…この病室から何度かけよりたいと…陽葵を抱きしめたいと思った事か…最初から…分かりきっていたことなんですよね…あんなに風に求められて…僕が手を差し伸べないわけがないと…ですが今度は……その差し伸べる手はありません…」
その言葉に、ギュッと心臓を鷲掴みにされる感じがした。
その意味を理解していても、友紀也の口から語られると辛かった。
「そんな顔…しないでください…初めから分かりきっていた事…あの時、一緒にいることを選んだことを後悔してしまいそうになる…だからそんな顔…しないで…ください」
息があがりながらも話を続けようとする友紀也を止めて呼吸器をつけると、今度は素直に従い何度か大きく深呼吸をする。
そして自らの手で外してまた口を開いた。
「陽葵と…キスが…したい…」