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第22章 幻でもいい…

瞳と瞳がぶつかる…



友紀也…じゃない…



分かってたことなのに期待してしまった。
死んでしまった友紀也が蘇るはずがないのに、もしかしたらと馬鹿な期待をしてしまった。

「泣いているの？」

期待していた私は、期待を裏切られて涙を流していた。
それが涙なのか雨なのか分からない。
ただ生温かなモノが頬を流れ落ちていた。

「死ぬ気だったの？」

友紀也の声で、友紀也じゃない彼が悲しそうな瞳を私に向ける。
その言葉に吸い込まれるように、コクリと頷き、そのまま彼の胸に顔を埋め声を出して泣いた。
友紀也が死んで初めて声を出して泣いた。
涙が流れても声をあげて泣くことができなかったのに、今、初めて声を出して泣いている。
その声も雨音にかき消されて彼以外の耳に届くことはなかった。

「まだ死にたいって思う？」

暫く泣き続けていると、友紀也の声で聞かれる。
友紀也の声で聞かれると、もう死にたいとは言えなかった。
だけどひとりで生きていくには辛すぎて返事をすることもままならない。