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ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…
「一緒にいてあげようか?キミが1人で辛いなら…心が癒されるまで…キミが生きる糧をみつけるまで…僕が傍にいてあげようか?」
思いもよらない言葉に顔を上げると、触れるだけのキスをされた。
雨に濡れているせいか、お互いが震えているのが唇から伝わった。
「僕も…ひとりなんだ…帰る家もない…」
「帰る家もない?」
「そう…帰る家も、助けを求める相手もいない…だから、僕を拾ってよ…拾ってくれたら…キミの願い何でも叶えてあげるよ」
お願いと微笑まれ、なぜかダメとは言えなかった。
それに、私も誰でもいいから傍にいて欲しかった。
「キミの願いは何?」
真っ直ぐに見つめられ、その瞳に吸い込まれる。
否とは言えない雰囲気に、今の想いを口にする。
「傍に…傍にいて…そして……私を愛して…」
ただ傍にいてほしかっただけなのに、彼の瞳を見ていると「愛して」と言ってしまった。
彼は優しく微笑んで触れるだけのキスを…そして友紀也みたに激しさを増す。
彼の舌が私の舌を捉え離さない。
深く交わりながら、友紀也とキスをしているかのような錯覚さえしてしまう。
唇が離れると、髪の毛にチュッとキスを落としてくれた。
それは友紀也が私にしてくれていたことで…彼に友紀也を重ねてしまう…