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ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…

「昨日は…顔を出していただきありがとうございました」

「いえ…桜木さんには…お父様の代からお世話になっていますのでお焼香だけでもさせていたきたくて足を運ばせていただきました…まさかこんなに早く亡くなられるなんて…先に逝くのは自分とばかり…これからのことは落ち着いてからお決めになってください。」

「これからの事?」

意味が分からず聞き返すと同時に、エレベーターの到着音が響きドアが開いた。

「とりあえずは部屋に戻って暖かくしてください。話はまた今度致しましょう…何かお困りな事がありましたら遠慮なく言ってください」

真鍋さんは、抑えていたドアから手を離し、お互いに軽く会釈をした。
ドアが閉まると一気に疲れが身体にのしかかる。
人と喋ることがこんなにも疲れると思ったのは初めてで、誰とも話したくないと身体が拒絶していた。
深く息を吸い、壁にもたれかかろうとした時、人の身体に触れた。
急いで振り返ると、そこには私が拾った彼がいた。
真鍋さんが何も彼について聞いてこなかったので、すっかり忘れていた私は苦笑い。
それでも、彼が傍にいてくれることにどこか安心する。
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