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ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…
「陽葵…家に帰って来ない?ひとりでここは寂しすぎるわよ」
ママは私を抱きしめたまま話を始めた。
「今はいいけど、夜になると寂しくて泣くのは目に見えているわ…そんな陽葵をひとり置いては帰れない…パパもママも陽葵が戻ってくることを願ってるの…友紀也さんの遺骨と一緒に帰ってらっしゃい」
ママの言葉にパッと顔を上げママの目線を追えば、テーブルの上に四角い箱が置いてあった。
ヨロヨロと立ち上がり近づいて、白い布で包んである桐箱に触れた。
これが友紀也…
私を軽々と抱き上げていた友紀也は、今は私が片手でも持ち上げられる程小さくなってしまった…
もう本当にいなくなってしまったんだと思うと、傍に逝きたいと思う。
そうするにはママとパパと蒼は邪魔だ…
帰れば死ぬこともできない…
「ママ…私はこの家から離れたくない…友紀也と過ごしたこの家を…」
「陽葵?」
「私が帰ってくる家はここなの…もうあの家じゃない…私は桜木陽葵であって、もう田崎陽葵じゃないの…」
そう伝えると、ママは寂しそうな表情を見せた。