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ずっと傍に……
第24章 正直になれなくて…
「んっ…。…陽葵の気持ち分かってるよ。昨日の言葉は本心じゃないって分かってるから大丈夫だよ。陽葵の気持ちが落ち着いて話せるようになったら会って話しよう?」
咲の心遣いがうれしくて涙が零れてくる。
ポタポタとタイルに落ちる涙を見て、咲はもう一度抱きしめてくる。
「LINEはしようね。返事返さなくてもいいから既読はつけてね。陽葵の生存確認…。それにLINEだけでも繋がってないと…陽葵、会いづらくなるだろうからね。」
そう言い残して咲は帰って行った。
私は、その場に座り込み声を殺して泣いた。
冷たい言葉しか浴びせていないのに、私を心配してわざわざ足を運んでくれた。
こんなにも思ってくれているのに、ありがとうの一言も言えなかった。
「良い友達を持ちましたね」
ユキが後ろから抱きしめて、良い子良い子と頭を撫でてくれる。
その嬉しさに今度は声を出して泣いた。
その泣き声を、廊下で咲が聞いていたなんて知らなかった。