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ずっと傍に……
第24章 正直になれなくて…
「余命一年と言われたのに2年も生きられたのは陽葵ちゃんのお陰だよな…何度かお見舞いに行ったけどいつも幸せそうに笑ってた…正直、それを見ている俺たちの方が辛かったよ…俺たちが辛かったんだ…ずっと傍で支えていた陽葵ちゃんはもっとつらかっただろう…だけど本当にありがとう…最後の最後まで友紀也を支えてくれて」
「あっそうだ。結婚式の写真見せてくれる?そろそろ一年よね…」
直海さんの言葉に、私は本棚からアルバムを取り出して渡した。
直海さんと竹吉さんはソファーに座ってアルバムを一枚一枚大切そうにめくる。
それを見ながら涙ぐむ直海さんを竹吉さんは抱きしめていた。
私はふたりから離れてお茶の準備をする。
やっぱり仲が良い姿は私を悲しみの中に引きずり込み、嫉妬心が芽生えてしまう。
平常心を保ちながらお茶を出すと、ありがとうと言葉を発しアルバムに目を落とす。
ちょうど挙式が終わり桜並木で写真を撮っている場面だった。
自由に動いてくださいという言葉に、手を繋いで桜並木を歩きながらたわいもない話をしている時は、友紀也が病気ということを忘れてしまうほど楽しい時間だった。
そして最後に愛し合った日でもあった。
「陽葵ちゃんも思い出すとつらいな」