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ずっと傍に……
第25章 約束…
「ユキ?初めて会った時に帰る家もないって言ったよね。助けを求める相手もいなって…どういうこと?ユキはどうしてあそこにいたの?」
考えれば不思議だった。
降りしきる雨の中、傘も差さずにあそこにいたユキ。
知りもしない私の傍にいてくれると言い、僕を拾ってよと言った。
願い事を聞かれて、傍にいて欲しい、愛してほしいと言えばその通りにしてくれた。
今まで深く考えたことがなかったけど、不自然な事ばかりだった。
そして自分のことばかりでユキの事を考えてあげれなかった。
「ユキ?私はユキに救われたよ。今でも救われてる…少しずつ前を向こうって思うようになった。今度は私がユキを救いたい。…どうしてあそこにいたの?どうして私に優しくしてくれるの?」
ユキは何も話さず、じっと私を見ていた。
揺らいだ瞳は悲しみの色を帯びて曇った。
「…分からないんです…」
「分からない?」
ゆっくりと開かれた口から出た言葉は意味が分からなかった。
だけど、それがユキの言葉だと思って口を挟まず聞いた。