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ずっと傍に……
第25章 約束…
「どうして、あの場所にいたのか分かりません…気がついたらあそこにいたんです…ただ雨に濡れながら呆然としていました…空を見上げて自分が誰でどこから来たのか…考えていたんです。そうしたら陽葵が現れました。…悲しそうな瞳をして今にも消えそうでした。だから、声をかけてしまったんです。僕を見て驚く顔に、そして流す涙に魅了されました。どうにかしてあげたい。救ってあげたいと思ったんです。…僕も自分が誰なのか分からないし行く当てもない…こんな僕を傍に置いてくれるなら、陽葵の為に全てを捧げてもいいと思ってしまったんです…理由なんてありません…ただ…陽葵を見てそう思いました…」
「何も覚えていないの?」
「ええ…何も覚えていません…自分の名前すら分からない…。そんな僕を拾ってくれた陽葵に感謝しています。あの時、陽葵に出会っていなければ僕はどうなっていたのか分からない…僕があの電車に飛び込んでいたかもしれないんです…僕は陽葵に救われたんです。孤独に過ごすかもしれなかった時を陽葵は僕と一緒にいてくれた。もう少し…もう少し一緒にいてもいいですか?陽葵が嫌じゃなければまだ一緒にいたい」