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ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「ごめん…なさい…」
「なぜ、陽葵が謝るんですか?」
「だって…ユキ!!」」
その続きを言おうと身体の向きを変えて口を開くと、そのまま口を塞がれた。
触れるキスから、絡め取るキスに変わり何も考えられなくなる。
ユキにしがみついて甘いひと時を過ごす。
「ユキッ…」
唇が離れると寂しくてユキの名前を呼んだ。
ユキは微笑んで私の額にキスを落とす。
「この前話したことを気に病んでいますね…。僕の事は気にしないでください。陽葵の負担にだけはなりたくはありません。」
「でも…」
「陽葵はやさしいですね…知らない僕を拾ってくれて、記憶がないと分かれば憐れんでくれる…陽葵に拾われて僕はラッキーですね」
暗い空気を変えるかのようにユキは微笑んで軽口を叩く。
だけど、それが本心とは思えない。
私と同じで悩み苦しんでいるのを感じるから。
「ユキ…」
「そこまでですよ。僕の事は本当に気にしないでください。記憶がなくても今が幸せですから。陽葵が僕を求めてくれたおかげで僕の存在価値があるんです。それだけで十分なんです。だから、そんな顔をしないでください。そして僕の為に…自分の気持ちを押し隠さないで」
私の胸を人差し指でトントンと叩いて優しく微笑んだ。