この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「…この家を出ないといけなんですか?」
この家が誰の名義かなんてのも分からないし、もともとは友紀也家族が住んでいた場所だから私が出ていくのが当然だと思う。
だけど…この場所を今でも離れたくはない。
「友紀也との思い出はここしかないんです…離れたくありません…」
「大丈夫ですよ。陽葵さんがここから出ていく必要はありません…」
出て行けと言われると思っていた私は、その言葉にホッとし、顔を上げると甲斐田さんは力強い眼差しで私を見ていた。
その射貫くような瞳が怖い。
「今日お邪魔したのは、桜木友紀也さんの遺言書を開封するためです」
そう言って、一枚の封筒をテーブルの上に置いた。
「遺言書…」
「はい。陽葵さんとはきちんと婚姻届けを出されていますので、志保さんと半分ずつになるのですが…陽葵さんの今後を考えて、桜木友紀也さんが生前作り上げたものです。内容は私も志保さんも知っています」