この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「これ書く時…私も一緒にいたの。これで私に不満はないかって聞きながら、陽葵さんのことを一番に考えて作ってた。だから私に不満はない。このままで私は良いと思ってる」
そう前置きをしてから遺言書の開示が始まった。
遺言書に書かれていることを甲斐田さんが読み上げていく。
だけど、読み上げられても正直意味が分からない。
それでも一応の流れで最後まで話を聞いた。
「以上ですが…ご理解いただけましたか?」
甲斐田さんの言葉に首を傾げると、甲斐田さんは表情を崩して笑った。
「まぁ…ここまでは弁護士としての仕事…ここからは友紀也の友人として…もっと簡単に説明するよ」
にこやかに話す甲斐田さんは以前会った時の甲斐田さんで、ホッとして私は頷いた。
「ごめんね…仕事柄やることはきちんとしないと気が済まなくて…驚かせたよね」
私の表情から読み取ったのか、甲斐田さんが小さく頭を下げて謝ってくれた。
そして先ほど開示された内容を私にでも分かるように簡単に説明する。