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ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「このマンションは友紀也の名義でね…つまり所有しているってこと。それを陽葵ちゃんに相続すると記されている。それと、友紀也は亡くなる前に色々と処分をして現金を残した。それも陽葵ちゃんが相続するように記されている。その現金で相続税を払えば、このマンションを手離さなくていい…。ここまでは理解できてる?」
理解はできたけど…私が相続してもいいのかと志保さんの顔色を窺うと、志保さんはにっこりと笑った。
「さっきも話したように私も納得してるの。同じだけの物を私も相続してるから気にしないで。…甲斐田さん話を続けて」
志保さんの言葉に甲斐田さんは通帳を一冊テーブルに置いた。
桜木陽葵と書いてある。
「この通帳に、このマンションの利益が振り込まれる…それは全て陽葵ちゃんのもの。これで仕事をしなくても一生遊んで暮らせるだけの収入を手に入れることができる。…友紀也は自分が亡くなった後の事をずっと心配していた。陽葵ちゃんだけじゃなくて志保ちゃんの事もね。何が一番いいのか考えてたよ。…自分がいなくなって路頭に迷わないように最低限のお金は残したいって、それも一生分…」
「一生分?」
私の言葉に、甲斐田さんは大きく頷いた。