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ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「…私…何も知らなかった…」
そう、私は何ひとつ聞かされていなかった。
そして、今更だけど、私は友紀也の事を知らない。
これで、夫婦だったと言えるのだろうか…
「たぶんね・・・思い出したくなかったんだと思う…」
「思い出したくない?」
志保さんの言葉の意味が分からずに繰り返すと、志保さんの表情が曇った。
そして、私の心を読んだかのように話し出した。
「終わったことだし、もう関わる気がなかったから、お兄ちゃんは親戚関係を紹介しなかったんだと思う。父が亡くなって一度も会ってもいないしね。だから葬儀の時も親族はいなかったでしょう?」
確かに、葬儀の時に友紀也の親戚らしき人はいなかった。
そしてどこから知ったのか、教師仲間や卒業生たちが顔を出して友紀也の死を悲しんでくれた。
それを意味もなく眺めて、友紀也の傍に行くことばかりを考えていた。
「私も会いたくなかったから連絡もしなかったの…それだけ、彼らとは関わりたくなかった…だから他意はないの」