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ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「どうして、関わりたくなかったんですか?」
「それね…父の遺産で揉めたの。当時、兄は大学生で私は中学生。私たちを誰が引き取るかでもめてた。はじめは心配してくれてるんだと思ったんだけど、実際は膨大な遺産をどうするかで争ってたみたい。それに気がついた兄が怒ってね…甲斐田さんのお父さんも弁護士だったから色々と相談して仕事を継ぐ気がなかったから、必要なもの意外は全て手放したの。本当は全てを手離すつもりだったんだけど、いずれ必要になるだろうからってマンションと別荘と土地だけは残した…それでも資産の事を良くは思っていなくて…もちろん、残してくれたおかげで不自由ない暮らしは出来てるんだけど、お金は揉め事の元だと口にすることを嫌ってた。お金目当てで近寄ってきた女もいたぐらいだし…陽葵さんがそうじゃないのは分かってたけど、そんな色々な嫌なことも思い出すから言えなかったんだと思う。それに、好きな女性は自分の手で幸せにしたって言うお兄ちゃんだったから」