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ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「ママ…」
『陽葵は…働く気はあるの?』
「それはもちろんあるよ…仕事しないと食べて行けないし…」
『そう…働く気があるのなら…友紀也さんの想い…相続させてもらいなさい』
脈絡もない言葉に、ママの考えが分からなかった。
だけど帰ってきた言葉は当たり前の言葉だった。
『もし、陽葵が仕事をしなくてその収入で生きて行こうと言うんだったら何が何でも遺産放棄させてたわ。だけど働く意欲があるのなら、友紀也さんの想い、受け取ってあげなさい。』
そう言葉を残して電話は切れた。
友紀也の想い…
私が生きていく未来のために考えてくれた想い…
私は遺影の前に行き、伏せてある遺影を上げた。
久しぶりに見る友紀也は穏やかに幸せそうに笑っていた。
これから死ぬとは思えず、この時には、死んでしまった後の私の事まで考えていてくれていたんだと思うと、涙が溢れて遺影を抱きしめていた。
「彼の想いを受け取ってあげなさい…それで彼は安心するんです。これから先の長い人生…きっと必要な時がきます…お金もこの家も…」
友紀也の遺影を抱きしめる私ごと抱きしめるユキの言葉に、私は小さく頷いた…