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ずっと傍に……
第26章 道しるべ…
「帰ろうか…」
突き刺さる視線が痛くて、逃げるようにスーパーを後にした。
ユキと歩いていても突き刺さる視線が痛い。
自然と俯いて歩く癖がつき、足早になっていた。
「少し寄り道していきましょうか?」
足早に帰る私の腕を取ったユキはそう言って、近くの小さな公園に入った。
平日のお昼と言う事もあって誰もいない。
少し寂しそうな公園でも、今の私にはちょうどいいのかもしれない。
ベンチに座って空を見上げると雲がポカポカ浮いて流れていた。
昔…そんなお話があったなと思いながら青空を眺めていた。
「田崎…田崎じゃないか?」
久しぶりに旧姓を呼ばれて、声をした方に顔を向けると小林先生が立っていた。
「買い物の帰りか…ちゃんと食べてはいるんだな?」
横に置いているスーパーの袋を見て安堵の色を出す。
そして相変わらずユキの逃げ足は天下一品…姿形も泡のように消えた。