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ずっと傍に……
第27章 舞い降りる奇跡…
「何を考えていたんですか?」
「んっ?…最後に…友紀也が食べてくれたのが中華粥だったなって…友紀也ね。料理が得意だったの。幼い頃にお母様が亡くなられて、小さな妹の為に料理をしていたらしいの…逆に私は料理は全然ダメで、それでもユキみたいに、私の手料理が良いって言ってくれてた」
「料理は愛情だと思いますよ。相手の事を思って作る…陽葵は僕に食べさせようと作ってくれてましたね。僕がいなければ食べなかったはずが僕がいるからと、その気持ちが嬉しかったんですよ。…誰かに作るのではなく…作ってもらいたかった…愛情が詰まった料理を…」
ユキは少し寂しそうな感じで話してくれた。
そして、その言葉に違和感を覚えた。
「…ユキ…何か思いだした?作ってもらいたかったって…」
慌てて聞く私に、ユキは一瞬眉をひそめる。
「…いえ…陽葵の話を聞いてそう思ったんです。でも…そうですね。愛情が詰まった料理を食べられなかったのかもしれませんね。」
未だに自分の記憶が戻らないユキは何でもないように笑った。
記憶がないということは恐怖だと思う。
それなのに、ユキはそれを見せずに、私が前に進めるように寄り添ってくれた。