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ずっと傍に……
第27章 舞い降りる奇跡…
―…
――…
―――――…
『やっと会えましたね』
その言葉に瞼を上げると、会いたかった人がそこに立っていた。
いつものようにジーパンにTシャツというラフな格好で、元気だった時のように肌艶も良くて本当に存在するかのようにそこに立っていた。
『…友紀…也?』
友紀也の名前を恐る恐る呼べば、友紀也はにっこりと微笑んで私に向かって手を差し出した。
その手を取って良いのか躊躇する。
私は友紀也を裏切り、もしかしたらユキの子供を妊娠しているかもしれない。
そう思うと、その手を取ることができなかった。
『陽葵…もう僕の手を取っては貰えないんですか?陽葵を置いて先に逝ってしまって怒っていますか?』
にこやかだった表情は一変して、今にも泣いてしまいそうな表情に変わった。
『違う…そんなんじゃないの…私…友紀也を裏切った…それだけじゃない…私…』
『裏切ってはいませんよ…彼のおかげで陽葵は生きているんです…彼がいなかったら陽葵はここにはいない…違いますか?』
その言葉に首を振った。
友紀也の言うとおり、ユキに会わなければ踏切の中に入りこんで私は確実に死んでいた。