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ずっと傍に……
第27章 舞い降りる奇跡…
『言いましたよね。これからの人生、色々な人と出会い別れを繰り返し、それには全て意味があるのだと…陽葵が彼と出会ったのにも意味はある。それに、目に見えるものだけが全てじゃない…陽葵はちゃんと分かっているはずですよ。心で感じ気がついているはずです…この世には不思議なことばかり…学校で言った言葉を覚えていますか?』
いつだったか、友紀也が教壇の上から言った言葉。
『覚えてるよ。友紀也が言った言葉は全て覚えている』
『だったら、受け止めてください。』
友紀也は微笑み、もう一度、私に向かって手を差し出してくる。
『陽葵に触れたい…抱きしめたい…ダメですか?』
捨てられた子犬のように首を傾げて見つめられると嫌とは言えなかった。
昔も今も、この表情には弱い。
私は躊躇しながらも、その手に触れた。
その手は温かくて、生きている友紀也を感じることができた。
触れた手を握りしめて抱き寄せられた。
身体全体に包まれる友紀也の温もりに、久しぶりに安心感が私を包み込んだ。