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ずっと傍に……
第28章 幸せの時の中で…
「友紀也が残してくれた物…それは大事に使わせてもらうから…友紀也だったら分かってくれる…」
そう伝えると、志保さんは大地くんの胸の中から顔を上げて、私に手を挙げた。
叩いて気が済むのであればと目を閉じた。
だけど頬に当たる物はなかった。
瞳を開けると、大地くんが志保さんの腕を取り首を横に振る。
「志保が手を痛めることはない」
志保さんにそう言い聞かせ、冷たい言葉を投げかけた。
「ヒナ…友紀也さんの願いで傍にいたし、これからだって力になろうと思ってた。それが友紀也さんの願いでもあったからだ。けど…もう無理…。今のお前…最低だ。」
それだけ言い残すと、大地くんは志保さんを抱きしめて病室を出て行った。
そしてずっと黙っていた千佳と咲はベッドに腰かけ私を抱きしめた。
「…どうして連絡してくれたなかったのよ。6ヶ月だったら中絶できないじゃない。」
「そうだよ。誰の子が分からないって…そんな子供を産むなんて無茶だよ…」
千佳と咲も、みんなと同じで産むことに賛成してはくれなかった。
「中絶しろって言われると分かっていたから連絡したくなかった」
「陽葵?」