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ずっと傍に……
第28章 幸せの時の中で…
「初めから中絶する選択肢はないの。ふたりが祝福してくれるとも思ってない。だから連絡しなかった…したくなかった」
「何…言ってるの?祝福できないの…当り前じゃない。友紀也さんが亡くなって一年経ってないんだよ。それなの…妊娠したって…産みたいって…何言ってるのよ」
「だから連絡したくなかったの。そうやって産むことを認めてくれないと分かっていたから…」
「だからって…ありえないよ…陽葵が何を考えてるのか分かんないよ」
何を言っても平行線。
きっと、私の気持ちを理解することはない。
せっかく仲直りしたのに、分かりあえずに離れていくのは寂しいと思いながらも、ここでも自分の意志を曲げる事はできなかった。
この命と友情。
どちらかを選べと言われたら、私はこの命だと即答する。
「分かってもらおうとは思わないよ。…自分の意志を曲げるつもりもない…私にとって、この命は誰よりも大切…両親よりも…親友よりも…。だから…私を許せないのなら…もう来ないで…会いに来ないで…」
「「陽葵?」」
驚くふたりに、私は静かに告げた。