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ずっと傍に……
第28章 幸せの時の中で…
「心配してくれてるのは分かってる。千佳が言う事も当然だと思う。だけど、私はこの子を産むと決めたの。ひとりになっても産むと決めたの…」
「私たちと友達の縁を切るっていうの?」
「それも仕方がないと思ってる…産むことに賛成してくれないなら…」
「賛成なんてできるはずないじゃない!!…陽葵……志保さんがいうとおり友紀也さんが可愛そう…あれだけ愛されてたのに、残していく陽葵のために色々としてくれたのに…こんな裏切りってないよ…」
普段は涙を見せない千佳が泣き出してしまった。
それだけ私の事を真剣に心配してくれていると分かっていても、堕ろすという言葉は浮かばない。
「…ごめん…だけど…裏切りだと思われても、この命は守りたいの。」
ごめんねと謝りながら千佳の手を取ると、その手を思いっきり振り払い、今まで聞いたことのない口調で静かに告げられた。
「陽葵はあっさりと友紀也さんを忘れるんだね。捨てるんだね…好きだ、愛してるだ、ずっと傍にいたいって言いながら、いなくなったら掌返すみたいに忘れるんだ…結局は陽葵は友紀也さんの事、愛してなかったんじゃない…ただのお金目当て?遺産欲しさの偽りの愛情だったんだ」