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ずっと傍に……
第28章 幸せの時の中で…
「あっ…」
そう思った時には遅くて、友也はこけて倒れてしまった。
さっきまで笑顔だった顔は見る見るうちに変わり、声をあげて泣き出した。
慌てて駆け寄る蒼は、子供に接する機会が少ないようで、どうしていいのか分からず抱き上げて私の方に掛けてくる。
「ごめん。陽葵。」
オロオロする蒼から友也を抱き上げると、膝を擦りむいて血が滲んでいるのが分かった。
もう少し遊ばせてあげたかったけど、バイ菌でも入って化膿しても困るから帰ることにした。
「遊んでくれてありがとう。」
「いや…俺の方こそ調子に乗りすぎてごめん」
「大丈夫大丈夫。泣いてるけど怪我はそんなに酷くないよ。消毒さえしてれば問題ないから…そんなに落ち込まないで」
シュンとしている蒼が可愛くて、昔みたいに頭をポンポンとする、やめろよと私の手を振りおろした。
「ごめんごめん。じゃあ、またね」
公園の入り口で蒼にそう言って帰ろうとすると、泣いていた友也が蒼の服を握りしめて離そうとしない。
怪我をしてもまだ遊びたいのか、泣きながら蒼の服を握りしめていた。