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ずっと傍に……
第28章 幸せの時の中で…
「うちの方が近いから寄って行けば?手当とお茶ぐらいだすよ」
そう言って友也に両手を差し出すと、友也は握りしめていた洋服を離し、蒼の腕を取って抱っこしてもらった。
また同じ道を歩くとは思わず、今度は蒼と一緒に実家に足を向けた。
実家に付くと、蒼はドアを開けて中に入るように言うけど、さすがに上がるわけにはいかなかった。
「ママたちに許してもらってないのに上がれないよ…ここで待ってるから手当だけしてもらえる?」
「だったら…リビングの窓開けるからそっちにまわって。懐いてると言っても、陽葵が見当たらないと心細いだろう?友也が」
それだけ言い残してリビングに向かった蒼を見ながら、私も外からリビングにまわった。
開かれた窓から中を覗けば、3年前と何一つ変わっていなかった。
上がることはできないと思い座るだけにして、蒼に抱っこされている友也の膝に消毒液をかける。
「あ゛――――!!ママいたい!!いたい!!」
沁みて痛がる友也をしっかりと抱きしめてもらって、さっさと消毒を終わらせる。
何をやっても消毒液は痛いんだったら、一気にやったほうが友也の為。