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ずっと傍に……
第28章 幸せの時の中で…

「それでね。今まで疎遠になってたけど…私の味ってママの味なんだなって思い出したら、このままじゃ駄目だと思ったの。まだ会ってもらえないかもしれないけど、私から動かないと何も変わらないと思って…」

「母さんの味か…考えたことなかったな」

「ずっと家にいればそうだよ。でもね。外に出れば一番美味しい物ってママの味なんだよね。ママのグラタン好きだったな」

私が落ちこめば、いつも作ってくれたグラタン。
パパと喧嘩をして家を飛び出した時も作ってくれたのはグラタンだった。

「グラタンねぇ…あるけど食べてく?」

キッチンの方に目線を移動して、どうする?と聞いてくる。
食べられるものなら食べたいと思う。
だけど…

「私が…食べて…いいの?」

「昨日の残りなんだけど…案外、陽葵のためにつくったのかもよ」

「えっ?」

驚く私を置いて、蒼はキッチに向かいグラタンの準備を始めた。
と言っても皿に盛りつけてオーブンに入れるだけだけど、ママのグラタンが食べられると思うとうれしい。
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