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ずっと傍に……
第29章 きっかけ…

「陽葵…辛いなら学先生の所に行く?」

蒼の言葉に頷くと、蒼は友也の髪の毛を撫で言い聞かせる。

「友也…学先生の所に行くから準備して…大丈夫。学先生がママの事治してくれるよ」

「先生…ママのこと治してくれる?」

「そうだよ。だから準備しよう?」

友也は頷いて、私から離れていく友也に寂しさを感じて引き留めてしまった。
普段は絶対にすることはない態度に、友也も蒼も困惑する。

「…陽葵…」

この手を離さないといけないと分かっていても、この手を離したら二度と戻らないような気がして離せなかった。

「陽葵。大丈夫だ。友也も一緒に行くから心配ない…」

そんな私を宥めながら、友也を握りしめている手を解かれると、なくなった人肌に寂しさが込み上げてくる。
好きだった人たちが私の手からすり抜けていく感じ。
友紀也もユキも…そして友也さえもすり抜けていく…

「…友紀…也…」

寂しくて、最愛の人の名前を呼んだ。
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