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第29章 きっかけ…

『友也…陽葵に似て心優しく良い子に育っていますね。、陽葵を守ってくれているようで僕は安心です』

『そうだね…友也は良い子だよ…いつも私の事を気にかけてくれてる。まだ5歳なのに私を守ろうとしてる…友紀也の代わりに…ユキの代わりに私を守ろうとしてるように思うの…』

『そうですね。友也は僕たちとの約束を守るために一生懸命なんですよ…』

『約束？』

『男と男の約束ですから秘密です』

『秘密なの？』

『秘密です。』

楽しそうに笑う友紀也を見て、私の方まで心が温かくなる。

『僕も友也も一番大事なモノは陽葵なんですよ。陽葵の事を誰よりも好きだから…そして陽葵と僕の一番の宝物…。ですから、そろそろ戻ってあげましょう…聞こえるでしょう？友也の泣き声が』

友紀也に言われて耳を澄ませば、遠くですすり泣く声が聞こえた。
友也は、わぁぁぁぁと癇癪を起したような泣き方は絶対にしない。
大人のように静かに涙を流す…