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第29章 きっかけ…

テーブルに戻ると千佳と大地くん、そして志保さんが楽しそうに談笑していて戻ってきたくなかったなと思ってしまう。
ずっとこのまま…それは嫌だと思いながらどう声をかけていいのか分からなかった。

「ママ。咲お姉ちゃん褒めてくれたね。いっぱい練習してよかったね」

うれしい思いが続いている友也は靴を履いたまま椅子の上に立ちうれしそうに話していた。

「友也！靴のままで上がっちゃダメ。」

「お靴脱いだらいい？」

「ダメ。椅子の上で立ったら危ないでしょう？」

ダメなものはダメと叱り、座らせる。

「お椅子に座ったらお話してもいい？」

「…ここでは静かにしようってお約束したよね。」

人が多いところに来ない友也は興奮していてはしゃぎたいようだった。
だけど、そんなことをして咲に迷惑をかけられないと友也を宥める。
ママのお願い！と言えば、友也は頷いてテーブルの上でお絵かきを始めた。
その姿を見てホッとしていると、千佳の言葉が耳に届いた。