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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「桜木さん。彼、弟さんって聞いたけど」
「あ~…はい。弟です。父親代わりに参加してくれたんです」
あまり話したことのない母親から話しかけられて戸惑う。
そして、根掘り葉掘り聞かれ、当たり障りのない返答で逃げきった。
父親参観が終わり友也を真ん中に手を繋いでお昼を食べて帰ることにした。
友也のリクエストはお好み焼き。
自分で焼いて食べるTV番組を見て食べたかったらしい。
私には行きたいとは言わないのに、蒼にはおねだりするのは、何でもはいはいと聞いてくれるから。
自分で焼けるお好み焼き屋さんに入り、友也は蒼の横に座ってなんだか寂しい感じがした。
こうやって成長して手の届かない場所に行くんだと思うと、まだまだ先の事なのに悲しくなる。
「ママ?元気ないけど大丈夫?」
蒼の傍で楽しくやっていても、私の表情には敏感に反応する友也は、すぐに私を心配する。
だから、友也の前では暗い顔なんてできなかった。