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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「それが…みんなと遊んでいる時に遊具から落ちてしまって、剥き出しになった金具に背中を…血がいっぱい出て…私…私…本当に申し訳ありません」
まだ新任の戸田先生は座り込んで顔を覆って泣き出した。
だけど私は…
「血がいっぱいって…血がいっぱいってどのくらいですか!!戸田先生!!泣いてちゃ分からないです。詳しく教えてください」
戸田先生の言葉に私の方もパニックになりかける。
血がいっぱい出たってことは輸血が必要で、友也の血液は…
「戸田先生!!!」
戸田先生の肩を強く揺さぶっても戸田先生が口を開くことはなく泣きじゃくるだけだった。
「陽葵くん。来てたんだね」
処置室から出てきた学先生が険しい顔をしているのに気がつき、良い話じゃないことが分かる。
「お父さんに友也の血液の事は?」
「…まだ伝えていません…先生!!友也は?友也は大丈夫なんですか?」
学先生の腕を握りしめて聞くと、学先生は穏やかに笑った。
だけど、その笑顔を私は知っている。
それは友紀也が癌だと教えてくれた時と同じ笑顔。
私を落ち着かせるためだけに見せる笑顔だった。