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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「パパもママも同じ気持ちだった。それでも陽葵が家に来る事に心のどこかで喜んでた…だからママは会わないと言いながら陽葵の好きなグラタンを作った。どこかで陽葵に食べて欲しかったんだと思う。そして……実は…あの時…みんな家にいたんだよ。」
「嘘…」
驚く私に、パパはおいでと手招きをする。
その手招きに誘われて近づくと、手を引かれてパパの膝の上に座った。
「玄関先で絵を描いている友也も見ていたんだよ…ふたりの会話も聞こえていた…おじいちゃんたちに会いたがっていたのも伝わっていたよ…それでも出て行けなかった…。帰って行く後ろ姿を見続けるしかできなかった私たちと違って、蒼はパパたちに言ったんだ『もう父さんたちの顔色を伺うのはたくさんだ。俺は陽葵に会いたいし、友也にだって会いたい…俺は俺のやりたいようにやる』そう言って、走っていったよ。」
「じゃあ、友也の絵を握りしめて走ってきたのは…」
蒼は絵を見て追いかけて来てくれた。
私に会うために、友也に会うために、パパたちの静止を振り切って会いに来てくれた。