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ずっと傍に……
第30章 助けて…
―――――…
20日間の入院も友也は泣きごと一つ言わずに堪えていた。
麻酔が切れると流石に痛いようで痛み止めを処方してもらい、夜になると心細いのか、私の膝の上に頭を置いて寝ることが多かった。
背中を怪我しているので抱きしめてあげることもできずに、そういう寝方になっていた。
それでも、子供の回復は大人と違って早い。
抜糸も終わり、無事に退院することになった。
「学先生。お世話になりました」
玄関先まで見送りに来てくれた担当の看護師さんと学先生にお礼を言うと、学先生は私の頭を大きな手でガシガシと撫でる。
「今から実家に帰るならちゃん謝って許してもらってきなさい…それと、陽葵くんはちゃんとご飯を食べる事…。…友也、ママがちゃんとご飯食をべているか見張るんだよ。食べなかったら先生に電話すること。いいね!!」
今度は友也の頭をガシガシと撫でると、友也は嬉しそうに返事をして、そしてバイバイと手を振りタクシーに乗り込んだ。
友也は後ろを向いて学先生たちが見えなくなるまで手を降り続け、見えなくなると私の手を握ってにっこりと笑う。