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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「おじゃまします…」
その一言にパパは苦笑い。
「…おじゃましますか…陽葵の家じゃないみたいだな…」
無意識に口から出た言葉、おじゃまします…。
いつのまにか、ただいまを言える家ではなくなっていた。
「数年ぶりだから仕方がないか…友也の為にオレンジジュースは買ってあるんだが…陽葵もそれでいいか?」
パパが友也を抱いたままキッチに立とうとするのを慌てて止めて、私が準備することにした。
キッチンの中も昔と変わってはいない。
少しの間でもママと一緒に立って料理をしたことが懐かしい。
懐かしさに耽っていると、友也が私のスカートをツンツンと引っ張って何かを言いたそうにしていた。
「どうしたの?」
「ママ…悲しいの?」
今にも泣き出してしまいそうな私の変化を敏感に感じとった友也もどこか悲しそうにしている。
以心伝心。
私が泣きそうになると友也も泣きそうになる。
「なんでもないよ。それよりオレンジジュース、おじいちゃんが買ってくれてるからいっぱい飲もうね。今日は友也の退院祝いだからいっぱい飲んでいいよ」