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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「送っていくよ…友也を抱いたまま、その荷物は持てないだろう」
パパも私の想いを理解してくれたのか何も言わずに私の荷物を持ってくれた。
「蒼も今日はありがとう…またね」
「…ああ…また友也に会いに行くから…」
蒼はママの顔をちらちらと見ながら言葉を選ぶ。
「…ママ…今日は勝手に来てごめんね」
そう言葉にしてもママは一度も顔を上げなかった。
それどころか、包丁の音が大きくなり、早く帰れと言われている気がした。
「とりあえず行こうか…友也を抱きっぱなしで重いだろう」
パパに背中を押されてリビングのドアを開けた。
「友也は…」
ドアを開けて廊下に出ようとした時、ママの声が私の耳に届いた。
今…友也と言った…
振り返ると、ママはまだ夕食の支度を続けたままだった。
「友也は何が好きなの?」
続けながらママはそう口にした。
友也の好きな物…
「あっ…えっっと…ハンバーグ…が一番好きかな…」
「そう…ハンバーグ…」
そう言うと、包丁を置いて何かを探し始めた。