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ずっと傍に……
第31章 進むべき道…
「そうか…今でも立ちたいと思うか?」
「立ちたいとは思います…桜木先生の意志を継ぐ気持ちに変わりはないです…けど、常識的に考えて不可能だと思ってます」
「桜木にとって、何が妨げになってると?」
「一度も教壇に立ったことがないということもありますけど…一番はこの子ですね。」
空いている席でお絵かきをしている友也の頭を撫でながら告げた。
「教師になれば帰ってくるのが遅くなる。小学4年生の子供をひとりで待たせるのも…そう思うと踏み出せないでいます」
今まで考えなかったわけじゃない。
友紀也の意志を継ぎたいのは今でも変わらない。
友紀也が果たせなった事、友紀也が推し進めようとしたことを、諦めたわけではない。
だけど、現実を考えるとシングルマザーで教師になるのは不可能に近かった。
もちろん、シングルマザーでも教師として立派に教壇に立っている人もいる。
それが私にできるかと言われれば、無理だということに辿り着く。
そう思っているうちに時間だけが過ぎて行き、何もしないまま今になった。