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管理人平沼
第7章 平沼先生の登場
この春、平沼にとって二つの出来事が起こった。
一つ目は、大学から郷土史家の講師として招かれたことである。以前から、地元自治体や小中学校からの講演依頼はあったが、大学からのオファーがあったのは初めてである。
二つ目は、平沼のアパートに新入生がやって来た。名前は香川京子といい、卒業した浅野千草の部屋に入居した。初めての一人暮らしということもあって、不安だったのだろう。平沼が何くれとなく世話をしてくれたので、京子は平沼を「優しい管理人さん」として慕っていた。
桜の花びらが舞い散る頃、大学では入学式が挙行された。晴れて進学した京子の心は、夢と希望に満ち溢れていた。両親から入学祝に届けられた一張羅のピンクのスーツに、胸元にリボンをあしらった白いブラウス姿は初々しくもある。しばし緊張の面持ちでいると、講師として紹介された平沼が登壇した。
「平沼さん、ここの先生だったんだ…」
京子は平沼に益々尊敬の念を抱いた。
入学式終了後、京子は平沼の部屋を訪ねた。そこには、平沼の嬉しそうな顔があった。
「先生、水臭いですよ。大学に勤めているなんて、今日、初めて知りましたよ。」
ふくれっ面の京子の顔もまた可愛い。
「まあまあ、香川君。君、郷土史なんて興味ないだろう?」
「興味なかったけど、先生の講義、面白そう。私、必ず受けるからね。」
京子は本当に平沼の講義を楽しみにしているようだ。
「ところで、香川君。今日は着てくれたんだろうね?先生がチェックしてあげる。」
一つ目は、大学から郷土史家の講師として招かれたことである。以前から、地元自治体や小中学校からの講演依頼はあったが、大学からのオファーがあったのは初めてである。
二つ目は、平沼のアパートに新入生がやって来た。名前は香川京子といい、卒業した浅野千草の部屋に入居した。初めての一人暮らしということもあって、不安だったのだろう。平沼が何くれとなく世話をしてくれたので、京子は平沼を「優しい管理人さん」として慕っていた。
桜の花びらが舞い散る頃、大学では入学式が挙行された。晴れて進学した京子の心は、夢と希望に満ち溢れていた。両親から入学祝に届けられた一張羅のピンクのスーツに、胸元にリボンをあしらった白いブラウス姿は初々しくもある。しばし緊張の面持ちでいると、講師として紹介された平沼が登壇した。
「平沼さん、ここの先生だったんだ…」
京子は平沼に益々尊敬の念を抱いた。
入学式終了後、京子は平沼の部屋を訪ねた。そこには、平沼の嬉しそうな顔があった。
「先生、水臭いですよ。大学に勤めているなんて、今日、初めて知りましたよ。」
ふくれっ面の京子の顔もまた可愛い。
「まあまあ、香川君。君、郷土史なんて興味ないだろう?」
「興味なかったけど、先生の講義、面白そう。私、必ず受けるからね。」
京子は本当に平沼の講義を楽しみにしているようだ。
「ところで、香川君。今日は着てくれたんだろうね?先生がチェックしてあげる。」