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第2章 夏

翌朝、平沼は就職活動に行く千草を見送った。昨日とは打って変わって、千草の表情は晴れ晴れとしていた。
　「平沼さん、昨日はご迷惑をおかけしました。私もう立ち直りました。今日から気分一新頑張ります。それと…」
　「何、千草ちゃん？」
千草が言いにくそうにしているので、平沼は気になった。
　「平沼さんって、本当はスーツフェチですね？」
　「どうして、そう思うのかい？」
平沼は心臓をドキドキさせながら聞いた。
　「昨日のエッチ、すごく興奮した。それに、平沼さんから渡されたおろしたてのスーツ、なぜかツンとするような匂いがして…」
平沼は自分の心が見透かされたようで内心戸惑った。千草は、
　「でもでも、平沼さんならいいかな…。優しくて、安心できるし。」
そこまで言って、千草は表情を赤らめた。
　「今度、千草ちゃんが就職を決めたら、僕の家でお祝いしよう。」
千草は平沼の思惑を感じ取り、頷くとその場から立ち去った。