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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第5章 花随想~哀しみしかない―嬉嬪張氏の生涯~
ただ、張嬉嬪の生涯を見る時、私はいつも哀しみしかありません。もちろん、彼女がなしたことは、客観的に見て、けして人として許されることではないと思います。ただ、本当に「権力欲」だけで彼女が数々の悪行に手を染めたのか? それを考える時、私はどうしても否としか思えないのです。
それが、この女性に惹き付けられてやまない理由でもあり、いつかその生涯を描いてみたいと考えたきっかけでもありました。
何故、哀しいのか。それは、彼女の生きた道筋を辿る時、失われた歴史の底から〝私だけを見て、愛して〟という声が聞こえてくるような気がしてならないからです。
この作品のサブタイトルにもつけた〝私だけを見て〟が、まさに彼女の心の叫びのように思われてなりません。悲痛な叫びです。
それが、この女性に惹き付けられてやまない理由でもあり、いつかその生涯を描いてみたいと考えたきっかけでもありました。
何故、哀しいのか。それは、彼女の生きた道筋を辿る時、失われた歴史の底から〝私だけを見て、愛して〟という声が聞こえてくるような気がしてならないからです。
この作品のサブタイトルにもつけた〝私だけを見て〟が、まさに彼女の心の叫びのように思われてなりません。悲痛な叫びです。