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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
(二)
仕事は終わった。野上は何くわぬ顔で帰り支度を整えた。
奈々からメールが届いているのは、野上には分かっていた。会社の駐車場でメールを開くと、
《珈琲のあとを想像するだけで、私、恥ずかしいです。じゃあ五時半に》
と、書いてあった。
《オッケー、今夜はじっくりと仕込むからね。五時半ジャストで》
メールを送ったあと、野上はすぐに会社を後にした。玉川に電動歯ブラシを教えたのはいいが、自分が使ってみないことには効果のほどが分からない。奈々よりも早くスーパーに着いて、極秘裏にそれを買うためである。
野上がスーパーに近づく頃、小雨に変わりはじめた。
駐車場に入ると、自分がいつも車を停める場所は空いていた。だがその隣りに、奈々の車が見えた。彼女は気づいたようだ。薄桃色の涼しげな傘が開いた。
モミの木と彼女の車の間に、彼が軽トラをバックさせているときである。
薄化粧の奈々と目が合った。昨夜、肉棒をしゃぶっていたときのように目は潤んでいた。彼女は車の中で性器を濡らし、ありとあらゆる仕込まれ方を想像していたように、野上には思えた。
軽トラックを停めた野上は窓ガラスを下げた。雨の匂いに混じり、半袖の青い葉模様のワンピースを着た彼女から、甘酸っぱい女の匂いが流れてきた。
「俺が先に着くと思っていたけど、奈々のほうが早かったんだ」
「私、待ちきれなかったから」
奈々はそう言って野上を見て、軽トラックに傘をさしかけた。
彼女は唇にすき間をつくっていた。ワンピースの裾は、膝丈よりも少し短いくらいだ。
野上は窓ガラスを上げ、軽トラックから降りてドアを閉めた。そして傘をさしかける奈々を見て、
(太ももを揃えて俺を見ているが、股を開いた性器に電動歯ブラシを押し当てると、さらに太ももを広げて、伸び上がるようにあごを反らすに違いない)
淫らな状況が浮かんでしまうと、食材を買ったあと、何か理由をつけて電動歯ブラシを買ってこようと決める野上であった。
「俺が傘を持ってあげるよ。ところで食材は好きな物を買いなよ、俺が出すから。だけどさ、今夜は時間がもったいないから簡単でいいと思う。花火大会の夜と、次の朝の分もついでに買っておくのはどうかな?」