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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
 正面の壁の南隅にサッシがある。建物の感覚からして向こうは広く、浴室などのスペースらしい。手前には、隣りの部屋へと続くドアもある。写メに写っていた寝室に違いない。
 奈々はエプロンを着けて、夕食を作り始めようとしていた。食材を並べている彼女が、ときおり彼を見ている。結んだエプロンの紐が彼女の尻に揺れた。
(奈々を後ろから見ると、清純そのもの。だが、昨夜、ワンピースの胸元を露わにしたときには──。このあと、裸にした奈々を前から見ると──)
 野上は、麦茶をゴクリと飲んだ。太ももを開かせて、電動歯ブラシを試したい。どMテストが浮かぶ。いろいろと仕込まなければならない。しかし、明日は朝早くから仕事が忙しい。
 すっと立ち上がった野上は、背後から奈々に近づいた。こんなふうに女性から部屋に誘われたときの男のマナー、女の扱いは自分なりに心得ていた。彼は奈々のウエストを抱き寄せ、自分の体を密着させた。
 背中をかがめるようにして、野上は彼女の耳もとに唇を近づけた。奈々はうつむき、体を固くしているようだ。
「奈々ちゃん、晩ごはんは簡単でいいからね。お茶漬けはどうかな。今夜は花火大会ために奈々を仕込んでおきたいんだよ。ね?」
 仕込むという言葉に、彼女の体は一気に火照ったようだ。野上の腕と体に、黙ってうなずいた彼女から、身悶えるような女の感覚が伝わってくるのだった。
 食後の野上は、恥ずかしがる奈々を言いくるめ、一緒に風呂に入ることを同意させている。

      (四)
 衣服を脱げば腰にタオルを巻き、野上は温泉のマナーを彼女に謙虚に見せつける考えである。
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