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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
 困ったような顔をして、奈々は彼を見ていた。しかし野上はくびれのある色っぽい体をじっくりと見て、薄目で話しかけた。
「ほら、ゆっくりタオルを取るんだよ。ゆっくり引っ張って」
 恥ずかしいのか、彼女は太ももを合わせて前かがみになっている。それでも盛り上がるタオルを興味深げに見ながら、ゆっくり引っ張るのだった。
 そのときである。突き上がるタオルが大きく前後にヒクヒク動き、テレビで聴いたことのある、マジックショーの定番メロディが彼の口から流れ始めた。
 タオルを引いている奈々の手が止まってしまった。
(もう、これだもの。ほんとに変な人。お母さんが、高校生のときに野上さんを好きになるはずだよ──)
 母から聞いていた変な事柄が、奈々に次々と浮かんでくるのだった。
 奈々が上目づかいで見たとき、彼はいかにも真面目な顔で口ずさみ、ニヤリとした。続けて何か言いたげに目を丸くしている。
(野上さんのことだもの、きっとタオルからハトを出すって言うに決まってる)
 一瞬、静寂が流れた。
「ほら、タオルを取って。そのあとで教えるから、いい?」
(ふーん、ハトじゃないんだ。でも、教える? ちょっと楽しみ)
 奈々は黙って頷いた。
 彼女は再びタオルを引っ張り始めた。すると亀頭に被さっていたタオルの端が、マジックショーのようにはらりと落ちた。
 そのとき、「あっ」と奈々は声を上げ、「こんなにも太いなんて」とタオルを手にした片手を口もとにそえ、肉棒をじっと見ていた。
 がっしりとした彼の太ももには体毛が生え、黒々とした陰毛の間から、太い陰茎が裏筋を盛り上げて突き上がっている。パワフルという文字を形にしたような、エラの張った太い亀頭だった。
 野上は奈々が言った、こんなにも太いなんてと、それを耳にして気分が良かった。
 野上は得意げに、「ふーん、俺のは太いのかい?」と言った。
 目を潤ませた奈々は、
「昨夜は…、ちょっと薄暗かったから」
 と小声で言った。そのあと、すごく太い、抱いて、と彼女の口もとが動いた。

 このときの奈々には、中島が浮かび、真紀子先輩の言葉が浮かんだ。
『中島さんのあそこ、太さと長さはスタンダードらしいよ。私の彼氏が言ってた。私の彼氏のあそこ、太いのよ。背後から極太で……』
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