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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
 奈々のフェラチオは、彼には極上のひとときだったに違いない。


     (五)
 浴室を後にしたあと、二人は全裸にバスタオル姿だった。
 ドアを開けた奈々は、すぐに灯りをつけた。
 彼女の後ろに立つ野上の目に留まったのは、白い壁に設置された柿色の灯りだった。それが、青いカーテンとベッドを浮かび上がらせて照らしている。落ち着いた雰囲気のする寝室だった。
 だがバスタオルを巻いただけの奈々が、自分の目の前に立っている。肩にかかる黒髪、ウエストから続く尻のライン、色気のある綺麗な脚線。この灯りを全身に浴びて股を広げ、狂うほどベッドで身悶える奈々が野上に浮かぶのだった。
 野上から話しかけた。
「予想通りここは寝室だったんだ。このドアを見たときから、そんな気がしていたんだよ。外は暗いようだね」
 笑みを浮かべた奈々は、「来て」と言って、彼の手を握った。「今から、お気に入りの景色を見せてあげる」
 いつか船の灯りが見えるとメールで言った、海の景色だろう、と野上は察した。
「広々としていい部屋だね。いかにも若い女性の独り暮らしって感じだね。収納の造りなんだ」
「そう。私がここを選んだのも、そこにある。それに景色も良かったから」
 奈々はテーブルに置いていたリモコンを手にして、冷房を入れた。
 西に面した壁際のソファに、薔薇の絵柄のクッションが二つ置いてある。小さめの木造りのテーブルはいい雰囲気がしている。向こうには小さな本棚と等身大の鏡、机の上にはパソコンがあった。
 奈々は南側の青いカーテンを背にして、間近に立つ野上を見ていた。
 手にしていたスマホを野上がテーブルに置くと、奈々は「ンフッ」と、笑みを見せた。そして手近のスイッチで寝室の灯りを消し、彼に背中を向けてカーテンを開けた。
 海沿いを走るバイパスのオレンジ色の明かりが、雨上がりの闇の中に岬へと続いていた。
 奈々は横顔を見せて、
「どう? 景色、気に入った?」
 背後から彼女を抱いた野上は、奈々の耳もとに唇を寄せた。そして体を寄せ、
「すごく気に入った。それに、寝室も俺好みだよ。一番のお気に入りは、奈々のスッピン、すごく可愛く見える」
 野上は背後から、彼女の豊満な胸を両手で揉み始めた。
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