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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
(野上さんのあそこ、ほんのちょっとふにゃっとしてきた。でも、大っきいから気持ちいい。あっ、子宮に当たる。なにもかも分からなくなっちゃいそう──)
 南側のカーテンは開いたままである。
 寝室の柿色の灯りが、ベッドで絡む二人を浮かび上がらせていた。

 野上のロングストロークに合わせ、奈々は尻を回している。黒っぽい花びらの中に、極太を突き込まれる度に、「はぁああぁぁぁ」と気持ち良さそうな声が、寝室に響くのだった。


     (七)
 奈々のアパートを後にした野上は、隣り町まで足を運び自宅に戻った。
 彼は花火大会の夜のために、極太バイブを買ってきたのである。
 ソファにゆったりと腰を下ろしている野上は、スポーツニュースを観ながら珈琲を待っていた。
 台所に立つ由香は珈琲を入れている。彼女はカップに注ぎながら、計画を練っていた。女の匂いをさせている、父に関することである。
 リビングに入ってきた由香は、父の前に珈琲をコトリと置いた。
「はい、珈琲。ところでお父さん、今夜は仕事の件じゃないよね。女の人の匂いがムンムンしてる。奈々さんとのデートはどうだった?」
 いつもより落ち着いた声と、何かに気づいているような目で、由香は父を見た。彼女はソファに座りながら、含み笑いを浮かべている。
「女の匂い? いや、偶然会ったから、ちょっと喫茶店に寄ったんだよ、それだけだ。今夜の由香の珈琲は特別にうまい。由香、合格だよ」
 と、野上は珈琲を一口飲んだ。
 由香は父をじっと見て、くすくす笑った。
「あのね、私、お父さんと何年暮らしていると思う? 合格って言うときには何かある。それくらいのこと分かってる。それに、今まで夜遊びなんてしたことないじゃない」
「そ、そうなのか? だけど、それは違う。俺は夜遊びはしない。本当に喫茶店なんだよ」
 大袈裟に手を振る野上の態度が怪しいと思ったのか、由香は身を乗り出して話しを続けた。
「あのね、昨日も今日も喫茶店という事にしてあげる。だけど私にはバレてる」
 目を細めてじっと見てくる由香に、野上は観念したらしい。
「由香、健太や亜紀、お爺ちゃんたちに夜遊びと言ってはだめだ、人聞きが悪い。分かったな」
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