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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
「聞くけど、亜紀も、山ちゃんにそんなこと言ったりする?」
由香は目を丸くして背筋を伸ばした。そして珈琲を一口飲んだあと、
「言わない言わない、だって山下のおじさん、独身とは違う。亜紀ちゃん、お小遣いの話しで議論するとは言ってた」
ちょっと強気な亜紀が浮かんだのか、野上はクッと笑うのだった。
「じゃあ、由香はどう? 迎えに来てとか、早くとか、健太に言っているようだけど、今もそんな調子?」
すると由香はさらに背筋を伸ばし、目も丸くした。
「──私? 全然そんなことない。健太から迎えに来てくれるのよ。花火大会も亜紀ちゃんと迎えに来てくれて、絵里花ちゃんとお爺ちゃん、それに私。五人で行くのよ。そうだ、どうせいつかはバレるんだから、花火大会の日、健太が迎えに来る前に、男らしく、奈々さんを紹介して? 六時でどう? それからはこそこそしないで会えるじゃない」
腕を組んだ野上は、じっくりと考えている様子である。やがて考えがまとまったのか、
「彼女の返事を聞いてみないことには、何とも言えないなー。それに、彼女には仕事の都合もあるからね」
由香は、直ぐに話しかけた。
「お父さん、スマホ渡して。私がメールしてみる」
大人の玩具屋に向かう途中、奈々からメールが届いているのが分かっている野上なのだ。携帯を由香に触らせることはできなかった。
「いや、だめだ。メールは自分でする」
「ふーん、娘の私にも見せられないメールなんだ」
「違う違う、メールは普通の内容なんだよ。俺は、女性のプライバシーも守る男なんだよ」
野上がメールを送ると、直ぐに奈々から返事が届くのだった。
野上は由香に話しかけた。
「由香、彼女はオーケーだって。会うのを楽しみしてるとも言ってたぞ」
「ね、考えるより行動だよ。明日は早出だったね。お祝いに豪華なお弁当を作ってあげる。じゃあ私は先に寝るけど、お父さん、シャワー浴びたほうがいいと思う。奈々さんの匂いがムンムンしてるよ」
珈琲カップをトレイに乗せた由香は、リビングを後にしていた。
結果はこんなふうになってしまったが、遅かれ早かれいずれは知られる事だったな、と野上は納得できていた。
由香に知られたことで、彼は心のつかえが取り除かれたらしい。余裕の態度で足を組んだ野上は、シャワーを浴びる前に、奈々から届いていたメールを読みはじめた。
由香は目を丸くして背筋を伸ばした。そして珈琲を一口飲んだあと、
「言わない言わない、だって山下のおじさん、独身とは違う。亜紀ちゃん、お小遣いの話しで議論するとは言ってた」
ちょっと強気な亜紀が浮かんだのか、野上はクッと笑うのだった。
「じゃあ、由香はどう? 迎えに来てとか、早くとか、健太に言っているようだけど、今もそんな調子?」
すると由香はさらに背筋を伸ばし、目も丸くした。
「──私? 全然そんなことない。健太から迎えに来てくれるのよ。花火大会も亜紀ちゃんと迎えに来てくれて、絵里花ちゃんとお爺ちゃん、それに私。五人で行くのよ。そうだ、どうせいつかはバレるんだから、花火大会の日、健太が迎えに来る前に、男らしく、奈々さんを紹介して? 六時でどう? それからはこそこそしないで会えるじゃない」
腕を組んだ野上は、じっくりと考えている様子である。やがて考えがまとまったのか、
「彼女の返事を聞いてみないことには、何とも言えないなー。それに、彼女には仕事の都合もあるからね」
由香は、直ぐに話しかけた。
「お父さん、スマホ渡して。私がメールしてみる」
大人の玩具屋に向かう途中、奈々からメールが届いているのが分かっている野上なのだ。携帯を由香に触らせることはできなかった。
「いや、だめだ。メールは自分でする」
「ふーん、娘の私にも見せられないメールなんだ」
「違う違う、メールは普通の内容なんだよ。俺は、女性のプライバシーも守る男なんだよ」
野上がメールを送ると、直ぐに奈々から返事が届くのだった。
野上は由香に話しかけた。
「由香、彼女はオーケーだって。会うのを楽しみしてるとも言ってたぞ」
「ね、考えるより行動だよ。明日は早出だったね。お祝いに豪華なお弁当を作ってあげる。じゃあ私は先に寝るけど、お父さん、シャワー浴びたほうがいいと思う。奈々さんの匂いがムンムンしてるよ」
珈琲カップをトレイに乗せた由香は、リビングを後にしていた。
結果はこんなふうになってしまったが、遅かれ早かれいずれは知られる事だったな、と野上は納得できていた。
由香に知られたことで、彼は心のつかえが取り除かれたらしい。余裕の態度で足を組んだ野上は、シャワーを浴びる前に、奈々から届いていたメールを読みはじめた。