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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第5章 花火大会
「これ? 家で紹介した健太の親父からのだよ、漁師だからさ。組合で浴衣を作ったらしくて、俺にも分けてくれたんだよ。それを紙袋に入れて持ってきた。花火大会だからさ」
 彼の家で健太と亜紀を紹介されたとき、奈々は山下と聞いて直ぐに、母が話していたあの山下が浮かんでいた。
「どうりで紙袋、ちょっと大きいなと思っていたんだよね。お母さん、山下さんのことも言っていたよ? 野上さんと仲が良かったって。今は家族ぐるみの付き合いなんだ」
 その話しを聞いて、どこまで知っているのだろう、と野上は奈々を見た。
 花火の明かりがソファで話し込む二人を照らし、音が響き続けた。
「あのさ、奈々はどこまで聞いて知ってる? もしかしたら山下と俺の黒歴史も?」
「うん、知ってる。だけどそれは気にならない。あとひとつ知っていることなんだけど、お母さんが言うには、野上さんは私に純情だったって言っていた。それにあのとき断ったのは、女の子の日だったからって言っていたよ」
 ──そうだったのか。
 だが、長い年月を経た今、野上は複雑な気持ちにならなかった。遥と会わなくなってからは、いい女が自分の前に現れる度に、遥のことは忘れた。そして今、偶然に付き合っているのは遥の娘、どMそのものの奈々。彼は自分自身、思い通りになる奈々の若々しい体に、溺れていく気がしているのである。
 黙っている野上に、奈々は話しかけた。
「だけど、これでいいんじゃない? 私はそう思う」
「もちろんだよ。奈々と俺は相性が合っているんだよ」
「うん、私も同じ考え」
 ソファにもたれている野上に奈々が体を寄せたとき、彼女は肩を抱かれて彼の胸に頬を埋めた。

 今、二人のセックスが奈々に浮かんだ。
(彼にバージンを捧げてから──。裸になって彼の体を抱きしめた。性器を見られていても、露わに脚を開いた。彼の言いなりにお尻を回した。太い肉棒を性器の奥まで突き込まれる。何も分からなくなるほど気持ちよく──再び気づいても、直ぐに分からなくなった)
 彼に肉棒をしゃぶらされても、性器の奥まで入れられ続けても、その行為が強引なほど、抱かれれば抱かれるほど、奈々は彼への愛情が増していることに、自分でも気づいていた。

「奈々の寝室って、花火を見るには特等席だね、誰にも邪魔されないし」
 奈々は、「でしょ」と彼を見上げて、あごを上げた。
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