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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第1章 それぞれの思惑
健太が由香をドライブに誘い、こんなふうに高台を訪れるのは、彼女が高校生の頃から続いていた。
その頃から、彼は事前にいろいろなことを考えた。しかし由香が大学生の今現在、未だ何もできていない。
月明かりは、車内まで照らしていた。
今夜の由香は薄手のジャンパーを着て、焦げ茶色のセーターに短いスカート。彼女は指を組み、シートにゆったりと身をまかせ、膝から下を斜めにしている。
由香は健太を見た。
(車を走らせているときには、あれほど話しかけてきたのに、ここに着くといつも緊張したように健太は無口になるのよね)
由香は、健太が私になにをしたいのか、それはずっと前から分かっている。
(男は顔じゃないんだよね、健太ってほんと可愛い)
車内は暖房が利き、暖かすぎるほどだった。
「ねえ、ちょっと暖かすぎない?」
由香はそう言って、ジャンパーを脱ぎはじめた。
「あっごめん。ほんとだ、暑いよね」
健太は慌てて、ヒーターのスイッチに手を伸ばした。
そのとき、胸を反らせてジャンパーを脱ぐ由香の動きに、風呂上りらしい石けんの匂いがした。生々しい太ももからも漂ってくるように思える。
ラブホテルでの淫らな行為が浮かび、妖しくなってきたな、と健太は思った。
今夜こそ計画を実行すると、一応は決めていた。しかし手を出せば拒否されてしまう気もして、ラブホテルに誘うことも、手を握ることも、健太はできなかった。
由香には、相変わらずの健太だった。
(いつまで私を待たせる気? キスさせてあげるのに)
由香は、わざと健太に胸を近づけて後ろのシートにジャンパーを置いた。シートに座り直し、太ももを見せつけるように健太に近づけた。何もしてこない彼に、きっかけを作ってあげたのだ。
彼女の胸が鼻先を通り過ぎるとき、健太は乳首に触れてみたかった。太ももは露わで、体の全貌まで分かる気がした。
(その胸を揉んで…太ももに触りたいけど、由香に嫌われたら困る)
再び海を眺める健太だった。
(健太って、ほんとにもう──)
「ねえ、私たちって付き合い長いよね」
──ちらっと由香と目が合った。
「そうだね。うん、長い」
(えっ、それだけ? まあそこが可愛いんだけれど)
由香が彼の下腹部を見たとき、ジーンズのあそこは大きく膨らんでいた。