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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第1章 それぞれの思惑
「そうでした。野上さんを偶然にお見かけしたものですから、ごめんなさい」
 野上を見上げていた彼女が頭をちょこんと下げた。
 野上はこれまで、彼女にはおっとりとした雰囲気を感じていた。しかし、男を挑発するような唇の動きからして間違いだったと思えた。これが彼女本来の姿で、積極的な女性かもしれないと、考えを改めるのだった。
 奈々が頭を下げたときである。野上は瞬時に彼女の胸から下半身にまで視線を這わせている。
 背丈は百六十前後で、尻にまとわりつくような薄手のスカートと太ももの境目は色っぽかった。見た目からして脚線美だった。胸の格好からして極上のくびれた体に違いないようだった。
 奈々は買い物かごを両手で持って野上を見ていた。太ももはぴったりと閉じている。
 彼女の目はちょっと強きで挑戦的だった。そんなふうに見つめられていると、裸にしてベッドに仰向けに寝かせ、その太ももを抱えさせて股を開かせる状況が野上の頭に浮かんだ。
 乳首を尖らせた胸の谷間の向こうで、瞼を閉じた彼女は恥ずかしげに顔をそむけ、焦らすように自らの手でじっくりと太ももを広げてゆく──。
 いかがわしい状況を描いてしまえば、野上は自分が若かった頃の海辺の記憶。それが映画のようによみがえってくるのだった。

 花火大会の夜だった。
 リーゼントにきめた二十一歳の野上は、美穂という年下の大学生をナンパして、ラブホテルに着いた。
 青い花柄模様の浴衣を着ていた美穂は、野上にそのままベッドに寝かされた。そして浴衣の裾をめくられ、生脚を露わにされるにつれ、彼女は口もとに両手を添えて頭を振って恥ずかしがっている。
 それでも野上はじっくりと彼女のパンティを脱がし、両膝を立てさせたあと、自ら太ももを抱えて股を開くようにお願いしている。
 ──仰向けに寝る美穂が両手で太ももを抱えたとき、下腹部の両側に浴衣が乱れた。天井からの肌色の灯りを浴びて、ゆっくりと広がっていく太ももだった。露わな陰毛と、縦に割れた性器はちょっと生々しかった。
 リーゼントの毛先が彼女の陰毛に触れ、唇を尖らせた野上が息を吹きかけ始めたとき、
「あっ恥ずかしい……」
 乳首の向こうから興奮気味の声が聞こえた。
 潮騒が聞こえ、露わなあそこと海を望めるラブホの一夜か──。あの日の夜も、今夜のように蒸し暑い夜だったな、と懐かしく野上の頭に浮かぶのであった。
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