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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第2章 初体験
由香は隣りから健太の横顔をじっと見た。そのあと背筋を伸ばし、彼の耳元に息を吹きかけ、諭すように話し始めた。
「あのね健太、休みとか休みじゃないとか、行ってみないと分からない。それを確かめに今から行くんじゃない。納得?」
耳元でしっとりと囁かれた健太には、説得力のある響きだった。
「なんか、一理あるような気がする」
「ようなじゃなくて、あるんだよね」
この先からは海岸線を走るバイパスと、隣町へと向かう旧国道に別れる。
明るい町沿いを走っていると、ライトアップされたショップの看板が見えてきた。二台はゆっくりと駐車場に入ってゆき、並んで停まった。
八時を過ぎていても、大きなガラス張りで明るいショップの店内に人は多い。制服を着ている従業員は簡単に区別できる。
車から降りた健太はショップを見て、今一度考えた。
これは、おじさんのプライバシーに立ち入ることではないだろうか──。
「あの、由香ちゃん、やっぱり悪い気がする」
亜紀と並んで立っている由香は、指先で彼を呼び寄せてニヤリとした。
「あのね健太、私たちがお父さんのサポートしてあげなきゃ、誰がしてあげるの。それに、お爺ちゃんからも見てくるように言われているんだよね」
「そうだよお兄ちゃん、奈々さんの雰囲気をお爺ちゃんに知らせてあげなきゃ。タブレットを見るように、だからね」
(サポートって、それはちょっと意味が違うと思う)
そんなことを思っても、二人の後に続く健太であった。
ガラス張りの外から中を覗き見ている由香と亜紀なのだが。健太は黙って隣りに立っていた。
由香は、亜紀に話しかけた。
「私、見覚えがある。ほら、レジの隣りに立っているあの人が坂井さんだよ。去年、私がスマホを買い替えたときの用紙を見ると、担当者の欄に坂井ってあったから。あの人に間違いないよ」
「うん、あの人は想像したとおり、店長さんの雰囲気がする。ちょっとお姉さま風で、綺麗な人なんだ。由香ちゃん、中に入って近くで見ようよ」
「うん、分かった」
中に入ると、健太は従業員と直ぐに目が合った。
「あ、あの、タブレットを見にきたんです」
従業員は愛想が良かった。
「はい、あちらにございます。ご自由にご覧になって下さい」
このとき健太は、テーブルを挟んで客に接している研修生。坂井と名札を付けた若い従業員を確認していた。
「あのね健太、休みとか休みじゃないとか、行ってみないと分からない。それを確かめに今から行くんじゃない。納得?」
耳元でしっとりと囁かれた健太には、説得力のある響きだった。
「なんか、一理あるような気がする」
「ようなじゃなくて、あるんだよね」
この先からは海岸線を走るバイパスと、隣町へと向かう旧国道に別れる。
明るい町沿いを走っていると、ライトアップされたショップの看板が見えてきた。二台はゆっくりと駐車場に入ってゆき、並んで停まった。
八時を過ぎていても、大きなガラス張りで明るいショップの店内に人は多い。制服を着ている従業員は簡単に区別できる。
車から降りた健太はショップを見て、今一度考えた。
これは、おじさんのプライバシーに立ち入ることではないだろうか──。
「あの、由香ちゃん、やっぱり悪い気がする」
亜紀と並んで立っている由香は、指先で彼を呼び寄せてニヤリとした。
「あのね健太、私たちがお父さんのサポートしてあげなきゃ、誰がしてあげるの。それに、お爺ちゃんからも見てくるように言われているんだよね」
「そうだよお兄ちゃん、奈々さんの雰囲気をお爺ちゃんに知らせてあげなきゃ。タブレットを見るように、だからね」
(サポートって、それはちょっと意味が違うと思う)
そんなことを思っても、二人の後に続く健太であった。
ガラス張りの外から中を覗き見ている由香と亜紀なのだが。健太は黙って隣りに立っていた。
由香は、亜紀に話しかけた。
「私、見覚えがある。ほら、レジの隣りに立っているあの人が坂井さんだよ。去年、私がスマホを買い替えたときの用紙を見ると、担当者の欄に坂井ってあったから。あの人に間違いないよ」
「うん、あの人は想像したとおり、店長さんの雰囲気がする。ちょっとお姉さま風で、綺麗な人なんだ。由香ちゃん、中に入って近くで見ようよ」
「うん、分かった」
中に入ると、健太は従業員と直ぐに目が合った。
「あ、あの、タブレットを見にきたんです」
従業員は愛想が良かった。
「はい、あちらにございます。ご自由にご覧になって下さい」
このとき健太は、テーブルを挟んで客に接している研修生。坂井と名札を付けた若い従業員を確認していた。