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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第2章 初体験
 送ってしまったメールは修正不可能、手遅れだった。野上はじっくりと読み返すにつれ、もっとセンスのいい言葉があったように思えた。
(どうしてなのかな、と言うよりも──)
 布団にうつ伏せに寝た野上は、奈々の水着の写メを見ながら、いろいろなことを考え始めた。
 この写メの白い砂、青い背景は日本とは思えない。日射しの中で彼女は笑みを浮かべている。胸の谷間は露わで、男心をそそる脚線美。ルックスにしても、彼女はグラビア向きだな──。
 砂浜で撮られた写メを見ていると、センスのいい言葉などは、どうでもよくなる野上だった。
 写メを見る限り、奈々は自分好みの女。胸が露わに思えるのは、くびれたウエストがどうしても目に入るからだ。極上の体に誘われ、一度でも抱いてしまえば積極的な彼女のことだ、満足するまで迫られるように思える。
 パワフルだった若い頃とは違い、野上は今の自分を知っている。
(今はこんなふうに硬くなってはいるが──)
 写メを見ながら、野上は自分の物を握った。我ながら太いとは思うのだが、奈々を抱いたときには三十分が限界だろう。
 続きを妄想していけば、裸の奈々が胸を抱きしめて横膝で布団に座り、『野上さんって、早いんだ』とそんな流し目と、男心が傷つく言葉が聞こえる気がする。
(奈々の年頃って、男も女もいやらしくて限界がないんだよな)
 若々しい奈々の写メを見ながら、若かりし頃の自分が浮かび、彼はそんなことを思うのだった。

 その頃、帰宅後の奈々は風呂から上がり食事も済ませている。
 既にキッチンの明かりは消えていた。
 寝室では、壁に取り付けられた柿色の灯りが、ベッドでうつ伏せになり、スマホと向き合う奈々を照らしていた。丈の短い青く透けたセクシーランジェリーを着て、灯りを浴びて足首をクロスさせた太ももは露わだ。
 奈々はメールを何度も読み返して、返事を書き始めた。
《野上さん、お仕事お疲れさま。第三なら、休みは私も連休で合わせられると思います。どうしてなのかな、ですか? それは私、野上さんに教えて欲しいことがあるんですよね。何だと思います?》
 書き終えた奈々は枕元の時計を見ている。十一時には少し早いけれど、と思いながら送信するのだった。
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